廃病院での肝試し 真夜中、俺たちは錆びついた門をくぐった。 2階に上がると、長い廊下の両側に無数の診察室が並んでいた。 3階に上がると、そこは元小児科病棟だった。 2 名前:本当にあった怖い名無し :2024/08/18(日) 23:52:44 ID:kowai1234 逃げようとした瞬間、幼い女の子の声が聞こえた。 うわー!と叫ぼうにも喉が引き攣って声が出ない。 また女の子が言った。 わけのわからない叫び声をあげながら、俺は半狂乱になって逃げ出した。 3 名前:本当にあった怖い名無し :2024/08/18(日) 23:58:51 ID:kowai1234 あの廃病院に、まだ健太は囚われているのかもしれない。 夜中に目が覚めると、遠くで車椅子のカタカタという音と、女の子の笑い声が聞こえる気がする。 それから、鏡を見ると、俺の目がどんどん暗く、深くなっているような気がするんだ・・・
高3の夏休み、俺と親友の健太は肝試しをすることにした。
場所は街はずれにある廃病院。昔、精神科病棟として使われてたらしい。
月明かりに照らされた5階建ての建物は、まるで俺たちを睨みつけているようだった。
玄関を開けると、埃と湿気の匂いが鼻をついた。
1階の待合室には朽ちた椅子が散乱し、受付には古びたカルテの山。
なんとなく、ここで何か悲惨なことがあったような気がして背筋が凍った。
ペンライトで照らしながら進むと、突然、奥の部屋から物音が。
驚いて振り返ると、健太の姿が消えていた。
「健太?どこだよ?」
返事はない。冗談にしては不味すぎる。
引き返すことも頭によぎったが、健太を見捨てては行けない。
仕方なく俺は奥へと進んでいくことにした。
壁には薄暗い動物の絵が描かれ、廊下の隅には錆びついた三輪車が転がっていた。
その時、背後でカタカタという音がした。
恐る恐る振り返ると、廊下の奥に1台の車椅子が。
誰も乗っていないはずなのに、ゆっくりと俺に近づいてくる。
・・・これは絶対にまずいやつだ。
「お兄ちゃん、遊ぼ?」
突然車椅子の上に女の子が現れた。TVのスイッチを入れるようにパッと。
長い黒髪で顔が隠れていること以外にもなにか違和感を覚えた。
なんだかぬいぐるみのようなシルエットに思え、よく見ると・・・下半身がない!
「私ね、ずっとここにいるの。寂しいの」
女の子が顔を上げ、長い黒髪が開いて顔が見えた。
眼球のない真っ黒な眼窩が、俺を見つめていた。
「私ね、ずっとここにいるの。寂しいの」
女の子の後ろには、無数の子供たちの影。
全員が同じ真っ黒な眼窩で、俺を見つめていた。
行方不明となった健太は懸命の捜査の甲斐なくまだ見つかっていない。
だが、情けないことにあの夜を思い出しただけでも全身に震えが止まらなくなる。
寝不足も続いていて、夜中に飛び起きてしまうこともたびたびある。