ゴーストインザヘッド

元引きこもりのオタクが送るサブカル・エンタメ系ブログ。マンガ、ラノベ、ゲーム、ガジェットなどを中心に書いていきます。読んだ人をモヤモヤさせることが目標です。

ある男の回想



ある男の回想

1 :本当にあった怖い名無し:2011/08/09(金) 21:34:56.78 ID:abcd1234
これは10年前、俺が大学生だった頃の話だ。
別に大したオチもないし、ドラマティックな展開もない。
ただ、俺にとっては面白い経験だったから聞いてくれ。

受験を終えて遠方の大学に合格した俺は、木造アパートの一室を借りた。
親からの仕送りはなく、奨学金とバイトで何とか生活してた。
家賃は1万5千円。当然ボロアパートだ。
トイレは共同、床はギシギシ音がする。窓やサッシの立て付けは最悪で、壁はペラペラ。
でも、屋根も壁もあるし、風呂だってある。お湯も出る。
トイレが共同なのに風呂付きってのは違和感あったけど、気にしないことにした。

ただ一つ問題があった。
俺以外の"住人"がいたんだ。


2 :本当にあった怖い名無し:2011/08/09(金) 21:36:40.78 ID:abcd1234
引っ越し初日の夜、片付けを終えて祝杯をあげようとしてた。
発泡酒と助六寿司、それに自作の野菜炒め。

醤油を注いで、ビールを開けようとした時だ。
なんとなく視線を感じて顔を上げたら、俺は思わず悲鳴を上げて食い物をぶちまけた。
部屋の隅に、若い女が座ってたんだ。
整った顔立ちの女で、長い黒髪。白い服を着てて、肌も青白かった。
目をつぶって開いても、まだそこにいる。
鍵はかかってるし、引っ越し中誰にも会わなかった。
床がギシギシ言うのに、気付かれずに入るのは無理だ。

結論:幽霊だった。


3 :本当にあった怖い名無し:2011/08/09(金) 21:38:25.90 ID:abcd1234
それ以来、女は部屋の隅に居座り続けた。
特に害はない。ラップ音を立てたり、「うらめしや?」なんて言ったりもしない。
ただぼーっと俺を見てくるだけだ。

最初は追い払おうとした。
塩をまいたり、お札を貼ったり、十字架を作ったり。
でも効果なし。除霊師や精神科医に行く金もない。
結局、諦めて現状維持を選んだ。

幽霊のイメージとは違ってて、三角の布はつけてないし、普通の服着てる。脚もある。
でも触ると通り抜けるし、全身がぼやけてる。

話しかけても反応はないけど、なんとなく挨拶だけは続けてた。
「おやすみ」「おはよう」「いってきます」「ただいま」

彼女はいないし友達も少ない。だから部屋に人が来ることもなかった。
一度、ゼミの飲み会に誘われた時、断ろうとして、
「ごめん…俺、憑かれてるんだ」って言っちゃったけど、
相手は「バイト大変そうだもんな」って去っていった。


4 :本当にあった怖い名無し:2011/08/09(金) 21:40:10.12 ID:abcd1234
4年経って卒業、地元就職で引っ越すことになった。
「君はこれからどうするの?俺はもうすぐ、この部屋を出るんだけど」
女は驚いたような様子を見せた。
「良かったら一緒に来る?」
首を振るような仕草をしたように見えた。
別れるのは残念だったけど、こんなもんかと思った。

それ以来、女には会ってない。
今もあの部屋にいるのか、成仏したのか分からない。
俺にとっては面白い経験だった。

何度か再現しようとしたけど、動かなくした女が幽霊になることはあれ以来なかった。

でも今度こそ成功するかもしれない。
何度でも試してみるつもりだ。


7 :本当にあった怖い名無し:2011/08/09(金) 21:43:40.23 ID:mnop3456
創作乙・・・創作だよな?


8 :本当にあった怖い名無し:2011/08/09(金) 21:44:55.89 ID:qrst7890
俺も幽霊に憑かれたいわ
寂しいんだよ

>>1 羨ましすぎ




*この話は私の創作です 


obake.cc
obake.cc
obake.cc
obake.cc
obake.cc