あの『巨頭オ』は実話だった!?真相を探る!!
と「ムー」リスペクトな記事タイトルにしてみました。
本記事を書こうと思ったきっかけはTogetterでこんなまとめを見つけたからです。
togetter.com
当記事では今更ながら、「巨頭オ」の真相をネット上の材料から追っていきたいと思います。
※なお「巨頭オ」はこちらの記事にも取り上げています
obake.cc
「巨頭オ」とは
本記事のテーマ「巨頭オ」を詳しく見ていく前に、まずは原文を読んでみましょう。
882 本当にあった怖い名無し 2006/02/22(水) 11:20:29 id:rndLxfFV0
数年前、ふとある村の事を思い出した。
一人で旅行した時に行った小さな旅館のある村。
心のこもったもてなしが印象的だったが、なぜか急に行きたくなった。
連休に一人で車を走らせた。
記憶力には自信があるほうなので、道は覚えている。
村に近付くと、場所を示す看板があるはずなのだが、
その看板を見つけたときあれっと思った。
「この先○○km」となっていた(と思う)のが、「巨頭オ」になっていた。
変な予感と行ってみたい気持ちが交錯したが、行ってみる事にした。
車で入ってみると村は廃村になっており、建物にも草が巻きついていた。
車を降りようとすると、20mくらい先の草むらから、
頭がやたら大きい人間?が出てきた。
え?え?とか思っていると、周りにもいっぱいいる!
しかもキモい動きで追いかけてきた・・・。
両手をピッタリと足につけ、デカイ頭を左右に振りながら。
車から降りないでよかった。
恐ろしい勢いで車をバックさせ、
とんでもない勢いで国道まで飛ばした。
帰って地図を見ても、数年前に言った村と、
その日行った場所は間違っていなかった。
だが、もう一度行こうとは思わない。
https://hobby7.5ch.net/test/read.cgi/occult/1139215060/ より
かつて訪れたことのある村が廃村になっており、「頭がやたら大きい人間?」がワラワラ出てくるという、情景を想像するとかなり不気味で怖い話です。
"彼ら"は村人たちの変わり果てた姿なのか、それとも別の存在なのか……。
そもそも「巨頭オ」ってどういう意味?
「巨頭オ」という看板の意味について、メジャーなもので概ね二通りの考察があります。
・「村」の右側が掠れて消えていた説
・右斜め上を指す「矢印」だった説
です。
まず前者ですが、
上の画像のように「寸」の部分と「木」の右斜めしたの棒が消えていて、まるで半角カタカナの「オ」のようになっている、という説です。
個人的に私はこちらの説を支持しています。
次に後者ですが「巨頭」という言葉の後に方角を示す矢印がついていた、という説です。
こちらでも確かに説明はできますが、「かつて訪れた村が様変わりしていた」ことを暗喩するギミックとしての役割を考えると前者の「村という字が変化した」説のほうがスマートだと思うんですよね。
村に居た「何か」の存在を知っていた外部の者が、注意喚起を込めて立てた看板と考えた方が話も面白くなると思います。
「巨頭村」について
「巨頭村」について、「巨頭」「巨頭村」という地名は日本のどこにも存在しないと説明がされているネット上の記事もありますが、「巨頭村」は中国に実在しました。
画像:Google Mapより
※ちなみに「头」という字は英語で「Head」、「頭」に当たる字です。巨頭村/巨头村どちらの表記も用いるようです。
参考:https://translate.google.co.jp/?hl=ja#auto/en/%E5%A4%B4
石江町に属する村のようで、中国語版Wikipediaにもその名前は載っています。
石江镇 - 维基百科,自由的百科全书
画像をご覧いただければ、田舎の集落で、北部に国道が走っているのが分かるかと思います。
恐ろしい勢いで車をバックさせ、
とんでもない勢いで国道まで飛ばした。
という一文が原文にもありますが、ま、まさかね……。
「巨頭オ」は実話なのか?
長くなりましたが、上記までを踏まえて「巨頭オ」が実話なのか否か考えていきたいと思います。
「巨頭オ」の看板を見つけたというツイート
まず冒頭で紹介した「巨頭オ」の看板を見つけたというツイートですが、ほぼほぼ創作で間違い無さそうです。
https://twitter.com/toushinnou1/status/1029383440628514817
クオリティについては受け取る側の感覚によるところも大きいため深く言及しませんが、「巨頭オ」の話自体が初出が2006年2月と、現在から12年以上前のことです(Tweetは2018年8月)。
また「村」が掠れて読めなくなっていた説に則るならば、さらに昔に遡ることでしょう。
そう考えたとき、木造の看板にしてはやけに綺麗なこと、「巨頭オ」という赤い文字が妙にはっきりと読み取れることなど、人為的な臭いがプンプンします。
断定は避けますが、「ネタとして創作されたものである可能性が非常に高い」と言わざるを得ないでしょう。
「巨頭オ」の書き込み者「id:rndLxfFV0」
「巨頭オ」は2006/02/22(水) 11:20:29に、ID「rndLxfFV0」という匿名の人物により、「2ちゃんねる」(現「5ちゃんねる」)のオカルト版のスレッドに書き込みされたものです。
(なお、元スレはあの「師匠シリーズ」が書き込まれていたりと「巨頭オ」意外にも興味深く面白い話が多いため覗いてみるのも楽しいと思います)
そこで「rndLxfFV0」氏の書き込みを、できる限り探してみました。結果は下記のとおりです。
アビスの力を知れ!
https://hobby7.5ch.net/test/read.cgi/occult/1129810948/
※「アビスの力を知れ!」とはゲーム『ロマンシング サ・ガ3』のボスキャラ、四魔貴族の一人「魔海侯フォルネウス」の台詞です。深海を話題にするスレッドだったので彼の台詞を書き込んだのでしょう。
504 :本当にあった怖い名無し:2006/02/22(水) 12:10:04 id:fvNZ2kIz0
私なんか海水浴でちょっと足がつかなくなっただけでパニックですよ
でも深海行ってみたい!もっと安価で大型の深海用潜水艦が発明されて、深海ツアーとかできるようにならないかな
507 : :2006/02/22(水) 15:02:58 id:rndLxfFV0
>>504
あなたは60歳。
定年を迎え、漸く自由が多くなった頃には文明が発達し、
深海艇ツアーが一般でも可能な時代になった。
あなたは少し迷ったが、それでも昔からの密かな楽しみが実現できる、
そう思って申し込みをした。
当日。15人乗りの深海艇が海へと潜っていく。
優雅に泳ぐ魚達が見える。そこはまだ深海じゃないが、何とも美しい光景だ。
あなたは感激し、そして未だ見ぬ深海に期待をよせる。
深海に到着して7分。暗闇でも届くライトが周りを照らす。何と幻想的か。
来てよかった。そう思った次の瞬間だった。
衝撃が潜水艇全体に伝わる。ハザードランプが点灯し、
サイレンがけたたましく鳴り響く。逃げ惑う乗客。
それは単なる潜水艇の郷土の問題か、
深海に潜む未知の巨大生物か。何が起こったのか分からないまま、
あなたの乗ったそれは深海の藻屑へと消えていった・・・
508 : :2006/02/22(水) 15:03:48 id:rndLxfFV0
郷土→強度
https://hobby7.5ch.net/test/read.cgi/occult/1129810948/
807 :本当にあった怖い名無し:2006/02/22(水) 23:11:19 id:rndLxfFV0
小さい頃に遊んでいた山、というほど大きくは無いが森の茂った場所があった。
一部開けた所があって、そこにマンガやら何やら、秘密基地とか言って遊んでた。
ある日そこに行ったとき、広場が歪んでた。
は?って思うかもしれない・・・が、本当に空間が歪んでいたんだよ。陽炎みたいに。
ちなみに季節は秋だったと思う。肌寒くなってくる季節に、陽炎なんて無い。
そのゆがみから目を離さずに、小石を拾って投げてみたら、
もののみごとに石がグニョンとワカメみたいに消えていった・・・
もう一度だけそこを訪れたが、マンガなんかは全部なくなってた。
https://hobby7.5ch.net/test/read.cgi/occult/1116346411
とここまでが、私が2ちゃんねるの過去ログからサルベージできた「rndLxfFV0」氏のすべての書き込みです。
(2006年2月ってID検索のできる「必死チェッカー」が無くなり、「必死チェッカーもどき」に代替わりする間のちょうど空白期間なんですよね……)
古いRPG(ロマサガ3。95'発売)好きなこと、レスとして創作文を返していること、「時空の歪み」スレにも体験談を投稿していることなどから考えると、投稿者は書き込み時、20代中盤~後半くらいの創作・怪談好きな男性ではないかと想定しました。プロファイリングなんてレベルではない勝手な想像ですが。
特に同じ日に複数の体験談風文章を投稿している点が創作である可能性を高めているように感じます。
もしかすると上で取り上げた中国の「巨頭村」を何らかの形で知り、これをもとに創作されたものなのかもしれませんね。
もちろん、「どちらも本当の話」ということもこの材料だけではゼロとは言えないのですが……。
「巨頭オ」まとめ
というわけで、この「巨頭オ」の話。
「現時点では創作である可能性が非常に高い」と結論付けさせて頂きます。
まあそんなことははじめから分かっていたというか……分かった上で楽しむものというか……。
いちいち調べてそんな結論だなんてナンセンスだと自分でも思いました……。
次はもうちょっと面白い切り口で書けるようにします。
余談ですが、冒頭で取り上げた「看板発見」の一件は中国のニュースサイトにまで波及しており記事が見つかりました。
中国語に翻訳された「巨頭オ」が読める貴重な機会です笑
なお、この記事の末尾は興味深い文章で締められています。
都市伝説が都市伝説たる所以は、それが常に真実のように思えるという点です。
誰もが「そんなものは存在しない」と考えているものは、思いもせぬ場所で見つかることでしょう。
山路上看見詭異路牌「巨頭オ」 PO網後鄉民驚喊母湯:是都市傳說 | 時淒宮分 | 鍵盤大檸檬 | ETtoday新聞雲 より翻訳(意訳)
「本物っぽく」「実話っぽく」あるからこそ「都市伝説」であり、逆に誰もがそんなものいないよ、と思うような荒唐無稽なものこそ意外なところで真実と判明したりするものです、というようなニュアンスだと思います。う~ん深いですね。
そう考えるとUFO写真や心霊写真も「本物っぽく」巧妙に造られたものではなく、「いや明らかに合成でしょ笑」って一笑に付されるものの中に、案外「本物」が混ざっているのかもしれませんね……。