ゴーストインザヘッド

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「消えるヒッチハイカー/後部座席の殺人鬼」-海外都市伝説シリーズ

海外都市伝説「消えるヒッチハイカー/後部座席の殺人鬼」

海外都市伝説シリーズ第二弾です。


前回の記事はこちら:「ブラッディ・メアリー(Bloody Mary)」-海外都市伝説紹介シリーズ


今回は「自動車」に関連する海外の都市伝説を二つご紹介したいと思います。
 

 

消えるヒッチハイカー

消えるヒッチハイカー」(幽霊ヒッチハイカーとも)は、1870年代から存在すると言われ、類型が世界中に分布している都市伝説です。

主な内容はこうです。

ある人がヒッチハイカーを乗せた。
 
ヒッチハイカーは車内が寒いので上着を貸してくれないかと頼み、ドライバーは快く応じる。
 
そしてしばらくすると、ヒッチハイカーは貸した上着ごと突然車内から消失する。
 
後日、ドライバーが地元の墓地を訪れると、消えたヒッチハイカーに貸した上着が、墓石に覆いかぶさるようにかかっている。
 
そう、彼の乗せたヒッチハイカーはこの世の者ではなかったのだ。
 
 
1942~43年、アメリカの民俗学者リチャード・ビアーズリーとロザリー・ハンキーは、アメリカ全土から「消えたヒッチハイカー」の物語を収集し、4つのパターンに分類しました。それが次のものです。
 
 
A. ヒッチハイカーが指示する住所(墓地や廃村など)で運転手が「幽霊を乗せてしまった」と気付くパターン。
 
B. ヒッチハイカーが災害や第二次世界大戦の終わりを予言する老婆であるパターン。
 
C. 路上以外で出会った女の子(ダンスホールなど)を車に乗せるが、忽然と消失。後に彼女の墓で貸したオーバーコートが見つかるパターン。
 
D. 消えたヒッチハイカーの正体が、後に地方の神や精霊だったと判明するパターン(ハワイの女神ペールの話など)。
 
 
彼らはAの物語が最も原型に近いと結論づけ、BとDは地方で広まるうちにローカライズされたもの、Cの物語は、元々別の怪談だったものがAの物語と融合した結果だと考えました。

その他、アーネスト・W・ボーマンがキーとなる要素を等級分けしたりと、この物語はめちゃくちゃ考察・分析がされており、読んでいるだけでも面白いです。
興味があれば「vanishing hitchhiker」で調べてみてくださいね。
 
 

後部座席の殺人鬼


こちらも様々な類型が存在し、映画やドラマなどでもよく取り入れられている都市伝説です。主な内容はこうです。

ある女性が夜に運転をしていると、後続車がハイビームで照らしてきたり、車間距離を詰めてきたり、しまいには軽く追突までされる。
 
ひどい煽り運転に辟易しながらも自宅に着いた女性だが、後続車は自宅まで着いてきていた。
 
文句を言ってやろうと車を降りた彼女に、後続車の男が駆け寄って言った。
 
「後ろの席に刃物を持った男がいる!」
 
後続車の男は、後部座席の男が彼女を傷つけようとする度、ハイビームや追突で妨害してくれていたのだ。

この都市伝説は1968年、民俗学者カルロス・ドレイクによって類型が集められ「後部座席の殺人鬼(Killer in the backseat)」として取りまとめられました。

他のパターンでは、

・女性がガソリンスタンドで降りると、レジの男が「このクレジットカードは偽装したものではないか調べさせてくれ」と事務所の中へ呼び、後部座席の怪しい男のことを彼女に尋ねる。

・女性が車に乗っていると、狂人のような女が外から車の窓やドアを叩いてくる。怖くなった彼女はすぐに車を発進させたが、どの方角に向かっても車を停止させる度に狂った女が現れ車を叩く。遂に彼女は警察署に逃げ込む。警官は怯える彼女をなだめ、彼女を家まで送ろうと車のところに向かい、後部座席に隠れていた男を見つける。後日、車を叩いてきた女は後部座席にいた男に殺された幽霊で、危険を知らせようとしていたことが分かる。
 
 
これらの話に共通しているのが、「迷惑、あるいは不快な行為が、実は女性を救うためだった」という点でしょう。

迷惑行為をしてくる相手が「敵役」と思わせておいて、実際は予想外の第三者が潜んでいる……という、構成としても良く出来た都市伝説だと思います。
 
 

まとめ

日本における自動車にまつわる都市伝説だと、「深夜タクシーがずぶ濡れの女性を乗せて、しばらくして後部座席を見たら姿が消えており、シートが濡れていた」という怪談が非常に有名ですが、この話は「消えるヒッチハイカー」と「後部座席の殺人鬼」の複合系と見ると興味深いですね。

またフィリピンに伝わる「ホワイト・レディ」の話も日本のタクシーの物語と非常にに似通っており、「車」という世界中に広まった科学技術にまつわる都市伝説ゆえに西洋からアジアに伝播したのか、それとも各地で別々に自然発生したのか、などなど、考察のテーマとしてはいくらでも思いつきそうです。

民俗学や社会学系学部の大学生の方は研究テーマにしてみるのも面白いかもしれませんね!

というわけで今回はこの辺で。ではでは。
 

  
参考:
https://en.wikipedia.org/wiki/Vanishing_hitchhiker
https://en.wikipedia.org/wiki/Killer_in_the_backseat