よふかしのうたを読んだ。ぼくは泣いた
「だがしかし」で一世を風靡したコトヤマ先生の新作「よふかしのうた」をようやく三巻まとめて読んだらいてもたってもいられなくなったので記事を書きます。
まず、読め。
いや読んでくださいほんとにこれは読んでほしい。
どんな話なんだぜ?
優等生の皮を被るのに疲れて不登校になっちゃった14歳の少年・コウ君が夜にコッソリ家を抜け出してみたら吸血鬼のヒロインと出会う話です。
こう書くと「なんだ前作とずいぶん毛色が違うじゃないか」と思われるかもしれませんが、ぼくは前作と今作の根底にある文脈は同じと言わないまでも似通っていると感じています。
すなわち、ボーイ・ミーツ・ガール、いやイノセントボーイ・ミーツ・ストレンジガールという構図です。
未熟な少年がちょっと変わった年上のヒロインと出会うことで物語が動き出す、という流れは共通していると思います。
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どこがそんなによかったのか
これだけだとよくある「年上ヒロインもの」なんですけど、ぼくがこの作品に惹かれたのはずばりそのゴール設定にあります。
その手段は読んでほしいんですが、主人公の少年は、吸血鬼の眷属になることを目指すようになるんです。しがらみのない夜の世界の住民になることで、自由を手にしようとするのです。
もうこの時点でうーん、大好き、ってなりますよね?
彼の目標はいわば逃避です。
寿命に関する言及は三巻までにありませんでしたが、鏡に映らないというくだりから判断するに、一般的な吸血鬼の特徴を持っていると判断してもいいと思います。すなわち不老不死ないし人間よりも長命だと。
吸血鬼(の眷属)になった時点で、人間社会に溶け込むことはできても人間としての生をまっとうすることはできなくなるわけです。これはいわば駆け落ちエンドに近いんじゃないかと。
あらゆるしがらみを捨ててヒロインと自由な世界へ旅立つエンドは個人的に大好物でして、アドベンチャーゲームの水月の○○○○ルートとかカオスヘッドの○○ルートとかが切なくも幸せなラストで狂おしいほど惹かれるんです。
個人的な結末予想
上で駆け落ちエンドと書きましたが……正直この終わりにはならないんじゃないかと思っています。あくまで主人公の少年は人間のままでエンディングを迎えるんじゃないかと。
理由としては、自由な存在に思えた吸血鬼も彼女たちなりのしがらみがあることが示唆され始めたことがひとつ。
それともうひとつ、幼馴染の少女の存在です。
個人的なフェチなんですが、異性の""匂い""が好きなんですよ。匂いって異性を意識するきっかけになるし嗅ぐだけでこう……フフ、いろいろこみ上げてきますよね。
そんな匂いなんですが、主人公の少年が匂いについて言及する唯一のシーンが幼馴染と添い寝するシーンなんですよね。正確にはヒロインと幼馴染に挟まれて寝るシーンなんですけど、それ以前にもヒロインと添い寝するシーンはあってそこでは匂いについて触れられていないので彼は幼馴染の匂いに反応したと読んでいいと思います。恋愛、人を好きになることがよくわからないという主人公が、唯一「いい匂いがする」と感じたのが幼馴染の少女なわけです。これは無意識下で最も異性として感じているのが幼馴染の少女であるという伏線なんじゃないかなと。
ゆえに最終的に彼の横にいるのは幼馴染の少女である、とぼくは予想しています。
いやもちろん眷属エンドを希望していますが、そうはならなそうだなあと思いながら読むとより切なくエモい物語になりませんか?!
キャラクターの掛け合いとか主人公のピュアさとかで一見明るい印象なんですけども、叶わない未来までの短い時間の物語だって考えるとうわぁああにゃああああああ! ってなりません?!
まとめ
たぶん他の吸血鬼たちの誰か、あるいは何人かからベクトルを向けられたりみたいな展開もあるんじゃないかと思いますが、ラブコメヒロインダービーとしてみれば他の吸血鬼は物語装置の当て馬でしかないので、正ヒロインのナズナちゃんと幼馴染だけ意識していればいいかなと思います。
溢れてくる思いと脳内妄想を書き殴ったのでわけわからん文章になっちゃいましたがまあいつものことなので気にしない気にしない。
チェンソーマンのリゼのくだりとか最近の少年マンガはエモーショナルな展開が多くて良きですね。
「よふかしのうた」、めちゃくちゃおすすめです。
最後にぜんぜん関係ないんですけどぼくR-18小説の電子書籍を出すので18歳以上の皆さんよかったら買ってください(懇願)