※この記事はしちほだ(@shichihoda)さんに寄稿頂きました!
こんにちは。
(自称)カスタムキャスト職人のしちほだと申します。
今回はこちら、ゴーストインザヘッド様に寄稿するにあたり、幅広い多くの方に聴いてもらいたい音楽を紹介させていただきます。
紹介させていただきますのは、ミニマル・ミュージックを代表するSteve Reich(スティーブ・ライヒ)です。
私は主に作業用BGMとして愛聴していて、同じ用途として聴いていただきたいのはもちろんの事。
知っているだけで"通"ぶれると思われますので、うんちくの一つとして脳みそにインプットしていただけると幸いでございます。
Steve Reich (スティーブ・ライヒ)
ミニマル・ミュージックを代表する作曲家
1936年10月3日 生まれ82歳のアメリカの作曲家。
極めて短いフレーズを反復させるミニマル・ミュージックの先駆者として、ニューヨーカー誌において「現代における最も独創的な音楽思想家」と評されています。
短いフレーズを何度も反復させてそれってすぐ飽きちゃうんじゃないの?
と、思われるかもしれませんが、そうはならないのがライヒの楽曲の凄さです。
彼は楽曲の構築において、ただ単に同じ(または同じような)フレーズを繰り返すのではなく、独創的な技法を用いることで唯一無二の音楽を作り出すのです。
作曲技法:フェイズ・シフティング
ライヒを知る者であれば真っ先に頭に浮かべるのは、この「フェイズ・シフティング」の技法でしょう。
これは、同じフレーズを同時に鳴らし始め、片方のテンポを少しずつ変化させることによって音のズレを生じさせる技法です。
ズレ始めたフレーズは音の揺らぎを生み、次第に新たなフレーズを生み出します。
言葉だけでは、どのような響きになるのか想像しにくいと思いますので、ぜひ試聴してみてください。
「Piano Phase」という曲でフェイズ・シフティングの技法を体験できます。
そう言えば、人気ブロガーのニルスさんと人気ユーチューバーのヒカキンさん。
ほぼ同じ顔でありながら別々の人生を歩む様は、フェイズ・シフティングの技法によりズレて揺らぎが生じているふたつフレーズの関係のようだと言えるかもしれませんね。
どんなに頬膨らませたり目見開いたりしてもHIKAKINの呪縛から逃れられない pic.twitter.com/BO6CVTqULX
— ニルス/九泉似亜 (@nls__) 2018年12月31日
作曲技法:オーグメンテーション
「フェイズ・シフティング」とまた全く違う印象を与える「オーグメンテーション」。
こちらは、フレーズの一部の音符を増幅させたり反復させる技法です。
オーグメンテーションの技法を使った楽曲の中では「Four Organs」が代表的な曲です。
少しずつ変化していくフレーズは気が付いたときには全く別のフレーズに変化しています。
軸となる一定のリズムを刻み続けるマラカスと、刻々と変化するオルガンとの対比がおもしろいです。
「Music for Mallet Instruments, Voices and Organ」でも同様の技法が用いられています。
こちらは雪の降りしきる情景を思わせるとても綺麗な曲です。
その瞬間ごとに変化するフレーズは、形を変え続ける自然の風景と同じだと言えるでしょう。
おわりに
ライヒの特異な技法の紹介とともに挙げた楽曲は1967年~1973年の間に作曲されたものです。
近年の音楽と比べても全く古さを感じることがなく、彼がいかに先進的な音楽を産み出してきたかが分かりますね。
試聴の短い時間では魅力が伝わりきらないので、ぜひともフルサイズで聴いてみてください。
スティーブ・ライヒの楽曲は、時として心地よい音色がリラクゼーションを与え、時として変わりゆくフレーズが脳を覚醒させ生産性を与え、あなたの生活を豊かにしてくれる事でしょう。
おわり。
この記事を書いた人
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