ゴーストインザヘッド

元引きこもりのオタクが送るサブカル・エンタメ系ブログ。マンガ、ラノベ、ゲーム、ガジェットなどを中心に書いていきます。読んだ人をモヤモヤさせることが目標です。

漫画「とつくにの少女」が面白い(ネタバレ無し)

とつくにの少女

月刊コミックガーデン』で連載中のマンガ、「とつくにの少女」が面白かったので記事にします。
 

いつもの漫喫で何気なく手に取ったんですが、想像以上に面白かったです。
今回はネタバレを避けつつその魅力をご紹介したいと思います。
 
 

「とつくに」とは

あらすじの前に少しだけ。

まずこの作品を見た人は「とつくに」ってなんだろう? と思うんじゃないでしょうか。
私も"とっくに"を古語調にしたのかな? などと思いましたが実際は違いました。

「とつくに」は「外つ国」のひらがな表記です。

王様がいて、教会があって、兵士がいて、人間たちが暮らしている国、「内(うち)つ国」に対して、呪われた存在が棲まう忌まわしき地とされるのが「外つ国」です。
 
なお、「外つ国」というのはあくまで人々たちが用いている呼称です。「内」というのは王様達側から見た視点であることも、この作品を読む上でのポイントだと思います。
 
 

「とつくにの少女」ざっくりとしたあらすじ

少しずつ謎が明らかになる展開上、何を書いてもある意味ネタバレになってしまうのですが……できる限り確信に迫るようなネタバレを避けつつざっくりとしたあらすじを書きます。
 
 
世界には、壁を隔てて二つの国がありました。

人間たちの暮らす国「内つ国」と人外の棲む呪われた地「外つ国」です。
 
 
「外つ国」に暮らすのものは「外の者」と呼ばれ、全身が真っ黒で木の枝のような角が生えています。

人間が「外の者」に触れると「呪い」が感染し、その人もまた「外の者」へとなってしまいます。

そのため「内つ国」では自分たちを守るため、呪い及び外の者へ変化してしまった人を厳しく監視し、少しでも疑いのある者は投獄したり、命を奪い遺体を「外つ国」へと捨てに行っておりました。
 
 
そんな「外つ国」で、なぜか人間の姿を保ったまま天真爛漫に暮らす少女「シーヴァ」。
彼女は「せんせい」と呼ぶ異形の者と共に暮らしていました。

二人は穏やかな日々を送っているようでしたが……?
 
 

登場人物

天真爛漫な少女「シーヴァ」と、異形の男「せんせい」の二人を軸に物語は進みます。

シーヴァ
 
天真爛漫な幼子。化物で『外の者』と称されるせんせいと日々を暮らしている。実は『内の国』からの捨て子であるが「せんせい」は、その事実をシーヴァに話す事が出来ずにいる。

公式サイト より

 

せんせい
 
シーヴァから「せんせ」と呼ばれる『外の者』。一切、物も食べず、炎の暑さも感じない、全身を黒で覆われた異形の化物。ひとと言葉を交わす事が出来る。

公式サイト より

 
 

「とつくにの少女」の魅力

視覚的な面では、アナログチックでまるで絵本のように描かれた優しいタッチの画と、ベタを多用し「白」と「黒」をはっきり分けた作風が非常に印象的です。
 
 
ストーリーの面で、この作品の面白いところは、

・シーヴァはなぜ「外つ国」にいるのか?

・異形の体を持ち、シーヴァと暮らすせんせいは何者なのか? その正体は?

・二人はどのくらいの間ともに暮らしているのか?

・二人はどういった経緯で出会ったのか?

・「外つ国」には他に人間は暮らしていないのか?

・「外つ国」に暮らしている異形はなんなのか? 魔物的なものなの?

と次から次に湧いてくる疑問が順を追っては明らかにされず、ばらばらに少しずつ秘密が判明していく形となっている点です。

読者は「そうだったのか……!」「あぁ、そんな過去が……」と、二人の過去を追体験するような感覚を覚えるでしょう。
 
 
と同時に、現在進行系でも新たな登場人物や事件により物語に「動き」が生まれ「過去」と「現在」の二つの軸で謎が明らかになっていく巧みな構成は見事で、ストーリーテラーとしての作者の力量を感じさせてくれます。
 
 

「魔法使いの嫁」との比較~まとめ

少女×人外」というと同レーベルの作品、ヤマザキコレ著「魔法使いの嫁」(通称まほよめ)が非常に人気のある作品として思い浮かぶかもしれません(というかレーベルがまほよめに絡めた売り方をしています)。
 
 
しかし「人外×少女」という大枠の設定こそ共通してはいますが、「まほよめ」が文字通り「嫁」であるのに対し、「とつくに」はどちらかというと親子関係に近い(というかそのものの)ように感じます。
 
またストーリー展開も画風も方向性も全く異なるものだと思います。
 
 
なので単純な比較はできませんが、どちらも面白い作品であると思いますので、「まほよめ」好きな方もそうでない方も、ぜひ一度「とつくにの少女」を手にとってみて頂けたらと思います。