気持ち悪い・後味の悪い漫画
世の漫画の中には、読むだけで悪夢を見そうな、気持ち悪い・後味の悪い漫画が存在します。
こうした作品は、グロテスクな描写や衝撃的なストーリー展開によって読者に深い印象を残します。特に予測できない展開や意外な結末は、読後に気持ち悪さや不快感を感じさせ、一度読んだら忘れられない印象を持つことが多く、悪い意味で心に残り続けます。
今回はそんな、気持ち悪い・後味の悪い漫画を紹介します。漫画を読んで気分が悪くなりたい方はぜひ読んでみてくださいね!(最悪の勧誘)
*なお、アルコールが苦手なのに無理して飲まないほうがいいのと同じで、グロい描写が苦手な方や精神的に弱っている方は読むのを避けたほうがいいです。本当に。
- 気持ち悪い・後味の悪い漫画
- 『なるたる』/鬼頭 莫宏
- 『浄土るる短編集 地獄色』/浄土るる
- 『ブラッドハーレーの馬車』/沙村広明
- 『空が灰色だから』/阿部共実
- 『ミスミソウ』/押切蓮介
- 『座敷女』/望月峯太郎
- 『サターンリターン』/鳥飼茜
- 『アカメが斬る!』/タカヒロ (原作), 田代哲也 (作画)
- 『多重人格探偵サイコ』/田島 昭宇×大塚 英志
- 『生まれる価値のなかった自分がアンナのためにできるいくつかのこと』/永瀬ようすけ
- 『フランケン・ふらん』/木々津 克久
- 『GUNSLINGER GIRL』/相田 裕
- 『君に愛されて痛かった』/知るかバカうどん
- 『メイド諸君!』/きづき あきら+サトウ ナンキ
- 気持ち悪い漫画の特徴と魅力
- まとめ
『なるたる』/鬼頭 莫宏
星が、その子を導く――。今年小学校6年生の玉依(たまい)シイナが島で出会った、人の認識外のモノたち・乙姫、成竜、そしてホシ丸。シイナの日常が今、ゆっくりと、しかし確実に変わりだす。少年少女が織り成す、地球的スケールの物語が始まった!!
Kindleストア 作品紹介文より
ある少女が不思議な星型の生き物を海で見つけるところから物語は始まります。これだけ書くとメルヘンファンタジーのようですが、鬱屈、グロ、陰惨と気が滅入ること間違いないストーリーです。子どもは無垢ゆえにいかようにも染まるんですよね。
『浄土るる短編集 地獄色』/浄土るる
19歳の鬼才、降臨。衝撃の問題作、爆誕。
彗星のごとく現れ
SNS上の話題を一心に集めた
“浄土るる”。いじめを題材にし、
SNS上で累計10万いいね獲得『鬼』や、
幸せについて思いをめぐらす
人間ではない生き物たちの苦悩を描いた『猫殴り』など
目を離せないラインナップ。さらに未発表の短編『こども』も収録し、
圧倒的密度であなたに濃密な“気持ち”をお届けいたします。
Kindleストア 作品紹介文より
タイトル通り短編集なんですが、収録作品のことごとくが地獄かよって思う話。まさに地獄の色ってこんな色かな?って作品。
「これで衝撃展開だろ~w」みたいな小手先の技では絶対に出ない、"業"のようなものを感じる。カルマでぶん殴られるような話。なにを言っているのかわからないと思うのでとにかく読んでほしい。
『ブラッドハーレーの馬車』/沙村広明
資産家・ブラッドハレー家の養女になることが、孤児院の少女たちの憧れだった。ブラッドハーレー聖公女歌劇団で華々しく活躍する……そんな期待に胸を膨らませた少女たちがたどり着いた先は、暗い暗い塀の中。恐ろしく壮絶な悪夢が始まる――。
Kindleストア 作品紹介文より
『波よ聞いてくれ』『無限の住人』の沙村広明による作品。
"恐ろしく壮絶な悪夢が始まる――。"の紹介文に偽りのない最悪の展開のオンパレードです。救いがなさすぎてそれが逆に美しさを覚えるほどです。
『空が灰色だから』/阿部共実
10代女子を中心に、様々な人間のうまくいかない日常を描くオムニバス短編集。説明不能の“心がざわつく”思春期コミック誕生
Kindleストア 作品紹介文より
オムニバスなので普通のほのぼのエンドの作品もあるんですが、“心がざわつく”の紹介通りめっちゃ後味が悪い話もぽつぽつあるんですよね…。
たとえば世話焼き少女視点の話では幼馴染の少年の制服のネクタイを直してあげたりするんですが、甘酸っぱい青春ストーリーかと思いきやただただ迷惑がられていて、いやそれどころか…みたいな。ほどよい気持ち悪さなので気持ち悪コミック初心者にもお薦めです。
『ミスミソウ』/押切蓮介
「私は家族を焼き殺された――。」
三角草(ミスミソウ)。厳しい冬を耐え抜いた後に雪を割るようにして咲く花。
閉鎖的な田舎町の中学に転校してきた少女「春花」を待っていたのは、壮絶なイジメだった。
せき止められない憎しみに、少女の心は崩壊する―――!!
Kindleストア 作品紹介文より
後味悪い漫画界の金字塔です。いじめ漫画は総じて度を越した描写が多いですが、本作はそれを越え「いじめ」という言葉で括れない常軌を逸したレベルです。
その後復讐鬼と化した少女がいじめてきた側をブチ殺していくんですが、そうしたところで失われたものが戻ってくるわけでもないんですよね…虚しい…
『座敷女』/望月峯太郎
雷のなる深夜、森ヒロシはドンドンという音で目が覚めた。外を覗(のぞ)いてみると、隣の部屋の前に、ロングコートにロングヘアー、紙袋とバッグを提げた異様な大女が立っていた。翌日から、突如その大女に付きまとわれるようになった森。サチコと名乗る女の行動は次第に異常さを増してきた。彼女の目的は何? そして彼女は何者!? ひたひたと迫りくる恐怖に、あなたは耐えられるか? 望月峯太郎の傑作ホラー!
Kindleストア 作品紹介文より
これはマジで怖いです。大学進学を機に一人暮らしを始めたときに読んでしまってトラウマになりました。
得体のしれない不気味な女に付き纏われる理不尽さ。びっくり系ではなくジワジワ系の恐怖です。
読み終わってもたくさんの謎が残る気持ち悪さも◎。
「ストーカー」という言葉が一般化する前の1993年に描かれたことも凄い。
『サターンリターン』/鳥飼茜
『先生の白い嘘』鳥飼茜、衝撃最新作。
書けない小説家・加治理津子(かじりつこ)。
ある日、かつて最も心を許した男友達・アオイが夢に現れ、理津子に問いかけた。「それ ほんとうに お前の人生?」
電話の着信で目が覚めた理津子は、アオイが自殺したことを知らされる。
昔輝いていた夢、現在の夫婦生活、大切な人の死…
目を背けていた“喪失”の人生が動き始める――
【サターンリターン/土星回帰】
意味…土星の公転周期が約30年であること。そのことから占星術では、約30年に一度、人生での大きな転機が訪れると言われる。土星は「凶」の象徴であり、この時期に人は自殺しやすいとも言われる。
Kindleストア 作品紹介文より
個人的にですが、主人公の女が本当に気持ち悪くて無理です……。でも勝手に先を読まされちゃうくらい引き込まれてしまいます…
ドロドロの妄執に囚われた人間が一見普通に社会生活を送っているんですが、物語が進んでたがが外れたときは「やっぱりな…」という感じです。
ちなみに同作者の『先生の白い嘘』が実写化決定しました。これも大概な話です。
『アカメが斬る!』/タカヒロ (原作), 田代哲也 (作画)
殺し屋集団ナイトレイド――その一員である黒髪赤目の少女アカメ。彼女と出会った時、少年タツミの運命は大きく動き始める…。「つよきす」「真剣で私に恋しなさい!」のタカヒロが贈る、ダークヒロイン・アクション開幕!!
Kindleストア 作品紹介文より
殺人!強姦!解体!レイプ!と胸糞展開のオンパレード。
人の命が軽い軽い。敵も味方も普通なら死なないポジションの人物がバンバン死んでいきます。それも戦いの中でカッコよく散るわけではなく(そういう恵まれたキャラもいますが)敵に捕らわれ拷問の末に命を落とすケースも多々。人物にフォーカスした心温まる場面があればそれがその人物の死亡フラグです。
『多重人格探偵サイコ』/田島 昭宇×大塚 英志
バラバラ殺人、カニバリズム殺人、フラワー殺人…次々と起きる猟奇殺人事件に多重人格探偵 雨宮一彦が挑む! 田島昭宇・大塚英志のコンビが現代の病理を描く問題作!!
Kindleストア 作品紹介文より
茨城県、香川県、岩手県、福島県、大分県、長崎県で青少年保護育成条例に基づく「有害図書」に指定されている曰く付きの作品。
恋人が猟奇殺人犯の被害に遭い、そのショックから多重人格者となった元刑事が、次々と起こる猟奇殺人事件の謎を追う、という筋立てなんですが、発生する猟奇殺人がまぁグロい。エグい。救いがない。
田舎の両親からのビデオレターのシーンは中学生の時に読んでトラウマになりました。
『生まれる価値のなかった自分がアンナのためにできるいくつかのこと』/永瀬ようすけ
漫画家志望の32歳「向井和也」は酩酊の果てに母校の小学校の屋上から飛び降りた。目覚めるとそこは20年前の世界で、自分の姿も小学6年生に戻っていた。屈辱にまみれた人生をやり直すチャンスを得たカズヤは、初恋の少女アンナと結ばれる事を望む。しかし、その想いが新たな悲劇の幕を開く――。時を超えて初恋を汚す物語。
作品紹介文より
いわゆるタイムリープ(タイムスリップ)ものなんですが、タイムリープものの主人公ってだいたい「命を救うため!」とか「災害を防ぐため!」みたいな主人公らしい動機で動くんですよね。
でも本作の主人公は「未来を自分の都合のいいように変えるため」という徹頭徹尾自分の欲望に則ったヤツです(エロ漫画でしか見たことないよ…)。作者自身も主人公を「クソゲス野郎」と呼んでいるそうです。ま~胸糞悪いヤツなんですが、コイツがどんな風に破滅するのかだんだん楽しみになってくるのでお薦めです(?)
『フランケン・ふらん』/木々津 克久
謎の美少女・ふらんのメスが光る時、生み出されるのは奇跡か悪夢か!? 新感覚メディカル・ホラー登場!! コミックス用完全新作も収録!!
Kindleストア 作品紹介文より
ちょっとエッチな表紙に釣られた青少年を地獄に突き落とす怪作(私も落とされた一人です)。
ただ、よくある「グロけりゃいいだろ」って漫画とは違い、ちゃんとストーリーがあって、しかも面白いんですよね。
闇医者の「ふらん」には特に悪意はなく、ただただ患者を救おうとしてる点も倫理を理解できないモンスター感があっていいです。その手段が人体結合だったり改造人間だったりするだけなんです。悪気はないんです!
全体的に「笑ゥせぇるすまん」的な救いがないラストが多いんですが、稀にハッピーエンドもあります。
ちなみに私は木々津克久作品が大好きでほぼ全部読んでます。『名探偵マーニー』『兄妹 少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿』が特にお薦めです。(そんなに)グロくも気持ち悪くもない作品です。
『GUNSLINGER GIRL』/相田 裕
公益法人社会福祉公社――表向きは障害者支援のための首相府主催の組織だが、その実態は瀕死の少女たちに機械の身体を与え、その少女たちに政府に敵対する勢力を秘密裏に排除させる諜報機関だった。一家殺害事件の生き残りの少女・ヘンリエッタは「条件付け」という洗脳処理により、以前の記憶を封印され「義体」となる。そして元軍人のジョゼ・クローチェは、テロリストに家族を殺され、復讐心に捕らわれ社会福祉公社に入り「担当官」となる。義体と担当官、二人はつねに行動を共にし、銃を手にテロリストの戦いに身を投じていく。架空のイタリアを舞台とした、少女と銃、そして周囲の大人たちが織り成す群像劇。第16回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞受賞。
Kindleストア 作品紹介文より
上のあらすじを読んだだけで「あ、これ救いがないやつだ」ってわかるんじゃないでしょうか。
死にかけの少女をもとにした「義体」。要は改造人間であり、生物兵器なんですよ。生物兵器は運用側が"処理"しやすいよう設計されてるのは当然ですよね…。
ただ、終始陰鬱で陰惨なストーリーというわけではなく、人間ドラマが丁寧に描かれているんですよね。「哀しくも美しい」という形容がぴったりの作品です。
『君に愛されて痛かった』/知るかバカうどん
中学生時代に遭ったいじめのトラウマで、同級生の顔色ばかりを気にする女子高生・かなえは、援助交際で承認欲求を満たす日々を過ごしていた。ある時、カラオケ合コンで知り合った他校の男子・寛に援助交際の現場を目撃される。それでも優しく接してくれる寛にかなえは恋をした。その想いが悲劇の幕を開くことに――。
Kindleストア 作品紹介文より
作者は成人向け漫画を描いていた方なのですが、一般誌でリリースされたのがこちら。一般とは…。
もうね、どう考えても破滅へ一直線に向かっていることが分かるのに止めることのできないもどかしさ、胸糞の悪さ。読めば気が沈むこと間違いなし。特に現役の中高生には絶対に薦めたくない作品です。
『メイド諸君!』/きづき あきら+サトウ ナンキ
上京してきたばかりの千代子は、ひょんなコトから秋葉原でメイドとして働くことになった。「おかえりなさいませ、ご主人様」というフレーズに戸惑いながらも、お客様をもてなすことに喜びを感じ始める千代子。しかし、そこには辛口のあるみ、男装麗人の蜂矢、エキセントリックなぱみる、色気たっぷりの愛理がいて…? メイド喫茶を舞台に少女たちが巻き起こす業界物語。これを読むと「メイド喫茶」に詳しくなれる!
Kindleストア 作品紹介文より
「なんで処女じゃないんですか!?」があまりにも有名な漫画。
それ以外の場面でも世界とのコミュニケーション不足を突きつけられ、思い出すとゲボ吐きそうになるくらい辛くなります…。
ネット見るとよく鳥取様が叩かれているのも辛い。ラストも救いがあるようで救いがない。陰キャのコミュ障な青春を送ってきた人間にはただただひたすら辛い作品。
読んだ後には、紹介文の「これを読むと「メイド喫茶」に詳しくなれる!」に笑ってしまいます(本気で言ってる...?)。
気持ち悪い漫画の特徴と魅力
本記事での「気持ち悪い漫画」「後味が悪い漫画」とは、読者に不快感や不安、恐怖を感じさせる要素を含む漫画作品を指します。
単純にグロテスクな描写だけでなく、心理的な違和感や不気味さを巧みに表現することで、読者の心に深く刻まれる独特の魅力を持っています。これらの作品は、日常の中に潜む異質な要素や、人間の深層心理を鋭く描き出すことで、読者を惹きつけます。
後味が悪い、気持ち悪い漫画が多くの読者を魅了する理由は複数あります。まず、日常から離れた異質な体験を安全に味わえることが挙げられます。また、人間の本性や社会の闇に迫る深い洞察を提供することもあり、読者に新たな視点や気づきをもたらします。
さらに、恐怖や不安を乗り越える過程で得られるカタルシスも、このジャンルの大きな魅力です。読後に感じる独特の余韻や、作品について考察を深める楽しみも、人気の要因となっています。
これらの真骨頂は、心理的恐怖を巧みに描く点にあります。主な手法として、
- 日常の中に潜む違和感の強調
- 登場人物の心理描写の緻密さ
- 曖昧さや不確実性の演出
- 読者の想像力を刺激する伏線や暗示
また、漫画という媒体の特性を活かし、視覚的な表現も「気持ち悪さ」を演出する重要な要素となります。
- 独特のキャラクターデザイン
- 歪んだ遠近法や異常な空間表現
- コマ割りやページ構成の工夫
- モノクロの陰影を活かした陰鬱な雰囲気作り
さらに、ストーリー展開にも、特徴的な要素があります。
- 徐々に明らかになる異常事態
- 予測不可能な展開や急転直下のどんでん返し
- 現実と非現実の境界線の曖昧さ
- 結末の解釈を読者に委ねる結末
以上の要素が組み合わさることで、「気持ち悪い漫画」は単なる恐怖や不快感を超えた、深い洞察と芸術性を備えた作品となるのです。
まとめ
今回紹介した作品は、いずれも読んだら後悔するほどの後味の悪さ、胸糞悪さ、気持ち悪さを味わえる漫画です。
「お金を払って買って、なんでこんな思いをしなくちゃいけないんだ!もう二度と読まない!!」と私はこうした漫画を読むたびに思います。
しかし時間を置くと、またこうした後味の悪い漫画に手を伸ばしている自分がいます…
さいごに、本記事で紹介しきれなかった作品もいくつか張っておきます。
一度足を踏み入れると抜け出せない、底なし沼に皆さんも一緒に浸かりましょう……