「洒落怖」をテーマにした漫画「裏世界ピクニック」
「洒落怖(死ぬほど洒落にならない程怖い話)」やネット上の怪談について幾度も記事にしている当ブログですが、そんな怪異譚をテーマにした「裏世界ピクニック」という作品が面白いです。
異世界ピクニックめちゃくちゃ面白い ただキャラとして洒落怖怪異出してみましたってパターンじゃなく独自の解釈や考察があってよき
— Lord ニルス/九泉似亜 (@nls__) 2019年1月12日
裏世界ピクニック あらすじ
仁科鳥子と出逢ったのは〈裏側〉で“あれ”を目にして死にかけていたときだった――その日を境に、くたびれた女子大生・紙越空魚の人生は一変する。「くねくね」や「八尺様」など実話怪談として語られる危険な存在が出現する、この現実と隣合わせで謎だらけの裏世界。研究とお金稼ぎ、そして大切な人を探すため、鳥子と空魚は非日常へと足を踏み入れる――気鋭のエンタメSF作家が贈る、女子ふたり怪異探検サバイバル!
Amazon 商品紹介より
「裏世界ピクニック」は「くねくね」「八尺様」「きさらぎ駅」といった、ネット上で有名な怪異譚・ネットロアが登場する冒険ものの作品です。
主人公が「裏側」「裏世界」と呼ぶ、時間も距離も歪んだ異世界の入り口は、現実世界のいたるところに隠れていました。
「裏世界」は、ネット上で語られる怪異が数多く潜む危険な場所です。
人付き合いが苦手で、自分だけの場所を欲していた女子大生の紙越空魚は、偶然見つけた入口から興味本位で「裏世界」に出入りしていました。
そんな空魚ですが、ある時危険な怪異に出くわしてしまい、あわや命を落としかけます。そこを別の入口から裏世界へと来ていた仁科鳥子に助けられます。
鳥子は大切な友人を探すために裏世界へ幾度も足を踏み入れているらしく、空魚はなし崩し的に鳥子と二人で裏世界探索を行うようになりますが……。
というのがざっくりとしたあらすじです。
原作は小説ですが、ガンガンコミックスから漫画版も出ています(私は漫画版から入りました)。
■小説版
■漫画版
どちらもおすすめですが、原作小説の方だとちょっと何が起きているのか分かりづらい部分もあり……視覚的に楽しみたい方は漫画版のほうがおすすめです。
裏世界ピクニックのおすすめポイント
冒頭で引用したツイートにも書きましたが、「裏世界ピクニック」の魅力はネットロアを「単なるギミックとして出してみました~」というだけでなく、独自の解釈・考察がなされている点です。
一例としてこんな感じです。
画像:『裏世界ピクニック』一巻より
上記の「くねくね」と「八尺様」はともに水神・蛇神をモチーフとしている説は、長いこと洒落怖等に触れてきた私もなるほど思わされました。
このように面白い解釈が展開されることで、より「洒落怖」などが楽しめるようになる点もひとつの魅力です。
作中の「裏世界」という設定自体も、いわゆる「時空の歪み」系のネットロアをモチーフとしているようで、インターネット怪異譚を幅広くカバーしつつ、独自の解釈を交えながらも巧く一つの世界観に落とし込んでいる点は個人的に高く評価しています。
洒落怖などが好きな方はもちろんのこと、今まであまり触れてこなかった方でも楽しめる内容となっています。