危険な好奇心(6ページ目) 走ってる途中、もし追い掛けられたら・・・と後ろを振り向いたが、『中年女』の姿は無く、ある意味拍子抜けた。 俺は小走りで先程の場所近くに戻ってみた。 186 :『ハッピー・タッチ』 ◆XhRvhH3v3M:2006/05/25(木) 09:13:15 ID:JIG/s1vbO 187 :『ハッピー・タッチ』 ◆XhRvhH3v3M:2006/05/25(木) 09:15:28 ID:JIG/s1vbO 218 :『ハッピー・タッチ』 ◆XhRvhH3v3M:2006/05/29(月) 02:59:44 ID:/lsJmPn1O そしてついに、淳のベットのゴミ回収に『中年女』がやってきた。 219 :『ハッピー・タッチ』 ◆XhRvhH3v3M:2006/05/29(月) 03:20:27 ID:/lsJmPn1O 221 :『ハッピー・タッチ』 ◆XhRvhH3v3M:2006/05/29(月) 03:44:26 ID:/lsJmPn1O その光景を周りの患者が見ていたので、しばらく病室は変な空気が流れた。 222 :『ハッピー・タッチ』 ◆XhRvhH3v3M:2006/05/29(月) 03:58:35 ID:/lsJmPn1O 家に帰る途中、俺は慎の事を思い出した。 250 :『ハッピー・タッチ』 ◆XhRvhH3v3M:06/06/01 02:47:31 ID:HcpydJoy その翌日、俺は病院に行き、 247 :ハッピー・タッチ ◆XhRvhH3v3M:2006/06/02(金) 00:51:34 ID:Cc3LUK3SO そんなある日、淳から電話が掛かってきた。 そして、さらに一週間が経ち淳は退院した。 夕方になり俺は帰宅。夕飯を喰った後、慎に電話をした。 280 :『ハッピー・タッチ』 ◆XhRvhH3v3M:2006/06/05(月) 01:40:06 ID:ZlsKc24yO 282 :『ハッピー・タッチ』 ◆XhRvhH3v3M:2006/06/05(月) 01:59:26 ID:ZlsKc24yO そして二時間経ち、歌にも飽き出した時、慎がある提案をした。 283 :『ハッピー・タッチ』 ◆XhRvhH3v3M:2006/06/05(月) 02:18:28 ID:ZlsKc24yO カラオケBOXを出てコンビニに寄り、あの2匹が大好きだった『うまい棒』と『コーラ』を買い込み、 293 :ハッピー・タッチ ◆XhRvhH3v3M:2006/06/06(火) 10:37:00 ID:UBma/3yTO いざ山に入ると、昔と景色が変わっていることに驚いた。 295 :ハッピー・タッチ ◆XhRvhH3v3M:2006/06/06(火) 11:27:49 ID:UBma/3yTO しばらく三人で釘痕を眺めていた。 320 :ハッピー・タッチ ◆XhRvhH3v3M:2006/06/07(水) 09:30:31 ID:dXfc2GpkO 「ここらへんだったよな・・・」 しばらく黙祷したのち、慎が言った。 ふと慎が周囲や目の前の池を電灯で照らし、 323 :ハッピー・タッチ ◆XhRvhH3v3M:2006/06/07(水) 09:53:04 ID:dXfc2GpkO 325 :ハッピー・タッチ ◆XhRvhH3v3M:2006/06/07(水) 10:06:39 ID:dXfc2GpkO 『淳呪殺』 すべてのゴミに書かれていた。 『淳呪殺』 なんと、周囲に落ちているゴミにも書かれていた。 328 :『ハッピー・タッチ』 ◆XhRvhH3v3M:2006/06/07(水) 10:21:17 ID:dXfc2GpkO あれから8年、あの日以来もちろん山には行っていない。
『中年女』は俺を見上げるような形で、俺の目を凝視してくる。
しかし、その目からは『怨み』『憎しみ』『怒り』など感じられない。
真っ直ぐに俺の目だけを見てくる。
「あの時はどうかしててねぇ、酷い事したねぇー・・・」と、『中年女』は謝罪の言葉を並べる。
俺はもう その場の『緊張感』に耐えれず、ついに走りだしその場を去った。
走るのを止め、立ち止まり考えた。
さっきのは本当に本心から謝っていたのか?
俺は『中年女』を信じることが出来なかった。疑う事しか出来なかった。
まぁ、あの事件の事があるから当たり前だが。
そこには再びゴム手袋をはめ、大量のゴミの分別をする『中年女』の姿があった。
こいつ本当に改心したのか?
必死に作業をする姿を見ると、昔の『中年女』とは思えない。
とりあえず、その日はそのまま帰宅した。
俺は自室のベットに横になり、一人考えた。
人間はあそこまで変わることが出来るのか?
昔、鬼の形相でハッピー・タッチを殺し、俺を、慎を、淳を追い詰め、放火までしようとした奴が。
「ごめんね」など、心から償いの言葉を発することが出来るのか。
いや、ひょっとしてあの事件をきっかけに、俺が変わってしまったのか?
疑心暗鬼になり、他人を信じる事が出来ない『冷たい人間』になってしまったのか?
『中年女』の謝罪の言葉を信じることで、あの事件の精神的な呪縛から解放されるのか?
もう一度『中年女』に会い、直接話すべきだ。
俺は『中年女』にもう一度会うこと、今度は逃げないこと!と決意を固め、その日は就寝した。
次の日、俺はバイトを休み病院に行った。
まずは淳の病室に入り、昨日の出来事を説明した。
そして、今日は『中年女』に会い直接話してみるつもりだ。と言う事を伝えた。
淳は最初「『中年女』は変わっていない!」と俺の意見に反対だったが、
「このまま一生、中年女の存在に怯え、トラウマを抱えたまま生きていくのか?」と俺が言うと、
「・・・『中年女』に会って話すんだったら、俺も付き合う・・・」と言ってくれた。
しばらく沈黙が続いた。
刻々と時間は過ぎ、面会時間終了のチャイムが鳴ると同時に、
ガラガラガラ・・・廊下の奥の方からゴミ運搬台車の音が聞こえてきた。
「来たな・・・」
淳がボソッと呟いた。
俺は固唾を飲んで部屋の扉へ視線を送った。
ガラガラガラ
台車の音が部屋の前で止まった。
部屋の扉が開いた。
作業服の『中年女』が会釈しながら入室してきた。俺と淳はその姿を目で追った。
『中年女』は奥のベットから順にゴミ箱のゴミを回収し始めた。
「ごくろうさん」と患者から声を掛けられ、笑顔で会釈をする中年女。
とても昔の『中年女』と同一人物とは思えない。
『中年女』はこちらに一切目を合わせず軽く会釈をし、ゴミを回収し始めた。
俺は何と声を掛けていいのかわからず、しばらく中年女の様子を伺っていたが、
淳が「おばさん!どーゆーつもりだよ?」と 切り出した。
中年女はピタッと作業の手を止め、俯いたまま静止した。
淳は続けて、「あんた、俺の事覚えてたんだろ?俺には謝罪の言葉一つも無いの?」
俺はドキドキした。まさか淳が急にキレ口調で話すなんて予想外だった。
中年女は俯いたまま「ごめんねぇ・・・』とか細い声を出した。
淳はその素直な返答に驚いたのか、キョトンとした目で俺を見て来た。
俺は「おばさん・・・本当に反省してるんだよね?」と聞いてみた。
すると中年女はこちらを向き、
「本当にごめんなさい。私があんな事したから淳君、こんな事故に遭っちゃって・・・
私があんな事したから・・・ほんとゴメンね!」と。
俺と淳は更にキョトンとした。何か話がズレてないか?
俺は「いや、昔あんた、犬に酷い事したり、俺ん家にきたり、すべてひっくるめて!」と言った。
中年女は、
「本当にごめんなさい!私が、私があんな事さえしなければ・・・こんな事故・・・ごめんね!本当にごめんね!」
と、泣きそうな声で言った。
その態度、会話を聞いていた病室内の患者の視線が一斉にこちらに注目していた。
静まり返った病室に「ゴメンね!ごめんなさい!ゴメンなさぃ!」と、中年女の声だけが響いた。
淳は少し恥ずかしそうに「もういいよ!だいたい、俺が事故ったの、アンタとは一切関係ねーよ!」と吐き捨てた。
中年女はペコペコ頭を下げながら淳のベットのゴミを回収し、最後に「ごめんなさい・・・」と言い、そそくさと病室から出て行った。
淳は「何なんだよ!あのオバハン!俺は普通に事故っただけだっつーの。何勘違いしてやがんだよ!」と言いながら枕をドツイた。
俺は『中年女』の行動、言動を聞いていてハッキリと思った。
やはり『中年女』は少しおかしい。
いや、謝罪は心からしているのだろうが、アイツは呪いの儀式を行った事を謝っていた。
呪いを本気で信じているようだった。
淳は、
「あの頃は無茶苦茶怖い存在やって、今だにトラウマでビビってたけど、
さっき喋って思ったんは、単なるオカルト信者のオバはんやって事やな!」
と、何処かしら憑き物が取れたと言うか、清々しい表情で言った。
俺は「あぁ昔と違って、俺らの方が体もデカくなったしな!」と調子を合わせた。
「さて、とりあえず一件落着したし、俺帰るわ!」
「おぅ!また暇な時来てや!」
と言葉を交わし、俺は病室を出た。
アイツにもこの事を伝えてやろうと。
アイツも今回の話を聞かせてやれば、あの日のトラウマが無くなるのでは無いかと。
家に帰り早速、慎と同じサッカー部だった奴に電話をかけ、慎の携帯番号を聞いた。
そして慎の携帯に電話を掛けた。
『おう!ひさしぶり!』
なつかしい慎の声。
俺はしばし慎と、最近どうよ?的な話をした後、
淳が事故って入院したこと、その病院に『中年女』が清掃員として働いていること、
『中年女』が昔と別人のように心を入れ替えている事を話した。
慎は『中年女』が謝罪してきたことに対し、たいそう驚いていた。
そして最後に慎は、『淳が退院したら三人で快気祝いをしよう』と言った。
もちろん俺は賛成し、「淳の退院のメドがつき次第連絡する」と伝えた。
淳に「慎がおまえの退院が決まり次第、こっちに帰って来て快気祝いしようってよ!」と伝えた。
淳はたいそう喜んでいた。
それから一週間程、病院に見舞いには行っていなかった。
別に理由は無いが、新学期も始まりなかなか行く時間が無かったというのもある。
それに『中年女』が更正(?)しているようだったので、心配も以前ほどはしていなかった。
何かあれば淳から電話があるだろうと思っていた。
内容は『来週退院する!』との事だった。
俺は「良かったな!」と祝福の言葉と共に、『中年女』の動向を聞いたが、
『普通にゴミ回収の仕事をしている。特に何もない』との事だった。
俺は学校帰りに淳の家に立ち寄った。
チャイムを押すと、松葉杖をつきながら淳が出てきた。
「おぅ!上がれよ!」
足にはギブスをはめたままだったが、すっかり元気そうだった。
淳の部屋でしばし雑談をした。
「淳、退院したぜ!」
『まぢ!そっか、じゃあ快気祝いしなくちゃな!
すぐにでも行きたいけど、部活が忙しいから、月末頃にそっち行くよ!』
との事だった。
そして月末の土曜日。
俺、慎、淳。
小学校以来、久しぶりの三人での再会だった。
昼に駅前のマクドで落ち合った。
久しぶりに会った慎は冬なのに浅黒く日焼けし、少しギャル男気味だった。
まぁそれはさておき、夕方まで色々と語った。
それぞれの高校の話。
恋の話。
昔の思い出話・・・
もちろん、『中年女』の話題も出てきた。
あの時、それぞれが何よりも恐ろしく感じていた『中年女』も、今となればゴミ回収のおばさん。
病院での出来事を俺と淳が慎に詳しく話してやると、
慎は「あの頃と違って、今ならアイツが襲って来てもブッ飛ばせるしな!」と笑いとばした。
もう俺達にとって『中年女』は過去の人物、遠い昔話で、トラウマでも無くなっていた。
夕方になり、俺達はカラオケBOXに行った。
久しぶりの三人での再会と言うこともあり、俺達は再会を祝して酒を注文した。
まぁ酒と言っても酎ハイだが・・・
当時の俺達は充分に酔えた。
各々4、5杯ぐらい飲み、皆ほろ酔いだった。
いい気分で歌を歌い、かなりHIGHテンションだった。
「よーし、今から秘密基地に行くぞ!あの時、見捨てちまったハッピーとタッチの供養をしに行くぞ!」と。
一瞬、空気が凍った。
俺も淳も言葉を失った。
まさかあの場所に行こうなんて、予想外の発言だったから。
慎はそんな俺達を挑発するように、
「オメーら変わってねーな!まぢでビビっんの?!ハハッ!」と、少し悪酔い?していた。
その言葉に酔っ払い淳が反応し、「あ?誰がビビるかよ!喧嘩売ってんのか慎?」とキレ出した。
俺は酔いながらも空気を読み、
「おいおい、やめとけって!第一、淳まだ杖突いてんだぜ?」と言うと慎がすかさず、
「あ、そっか。杖ツイてちゃ逃げれねーしな。ハハハ♪」と、かなりの悪酔いしていた。
淳は益々ムキになり、
「うるせーよ!行きてーんなら行ってやるよ!お前こそ途中でビビんぢゃねーぞ?」
と、まるで子供の喧嘩のようになり、
結局『ハッピーとタッチの冥福を祈りに』と言う名目で行くことになった。
慎、淳は二人とも結構酔っていたのと、引くに引けなかったんだと思う。
まぁ、ハッピーとタッチの供養はいずれしなければならないと思っていたので、いい機会かもと少し思った。
三人なら恐さも薄れるし。
タクシーで一旦俺の家に寄り、照明道具を取って来てからあの裏山へ向かった。
タクシー運転手に怪しげな目で見られつつ、山の入口でタクシーを降りた。
俺は三人でよく遊んだ裏山という懐かしさと共に、あの日の出来事を思い出した。
こんな夜更けにまた入ることになるとは・・・
そんな俺の気持ちも知らずに、淳は意気揚々と「さぁ、入ろうぜ!」と杖を突きながらズカズカと入っていく。
その後ろをニヤニヤしながら慎が、明かりを燈しながらついて行った。
俺は「淳、足元気つけろよ!」と言い、慎に続いた。
いや、景色が変わったのでは無く、俺達がデカくなったから景色が変わって見えているのか?
登山途中、慎が淳をからかうように、
「中年女がいたらどーする?俺、お前置いて逃げるけど♪」等、冗談ばかり言っていた。
思いの外スムーズに進め、30分程であの場所に到達した。
初めて『中年女』と会った場所。
俺達は黙り込み、ゆっくりと明かりを燈しながらあの樹に近づいた。
あの日、中年女が呪いの儀式をしていた樹・・・
間近に寄り、明かりを燈した。
今は何も打ち込まれておらず、普通の大木になっていた。
しかし、古い釘痕は残っていた。所々、穴が開いていた。
恐らく警察がすべて抜いたのだろう。
そして慎が、「ここらへんでハッピーが死んでたんだよな・・・」と地面を照らした。
さすがにもうハッピーの遺体は無かったが、ハッキリとその場所は覚えている。
俺はその場に『うまい棒』と『コーラ』を供えた。
そして三人で手を合わせ、次は『タッチ』の元へ。
秘密基地跡へ向かった。
秘密基地に向かう途中、淳が「色々あったけど、やっぱ懐かしいよな」とポツリと言った。
すると慎が「あぁ。あの夜、秘密基地に泊まりに来なければ、嫌な思い出なんて無かっただろうな」と言った。
確かに。この山で『中年女』に会わなければ、ここは俺達にとっては聖地だったはずだ。
慎が立ち止まった。
秘密基地跡地。
もう跡形も無かった。あの日バラバラにされていた材木すら一枚も無かった。
淳が無言でしゃがみ込み、『うまい棒』『コーラ』を置き手を合わせた。
俺と慎も手を合わせた。
「ハッピーとタッチがいなけりゃ・・・今頃俺達いなかったかもな」
淳「あぁ・・・」
俺「そうだよな・・・結局、『中年女』も更正して、なんだかやっと悪夢から解放された感じだな」
しばらく沈黙が続いた。
「この場所、あの頃は俺らだけの秘密の場所だったのに、結構来てる奴いるみたいだな」と。
慎が燈す場所を見ると、スナック菓子の袋や空き缶が結構落ちていることに気付いた。
俺は「ほんとだな。あの頃はゴミなんて全然無かったもんな。今の小学生、この場所しってんのかな?」と言った。
淳が続けて、「あの時は俺ら、まじめにゴミは持ち帰ってたもんな」と言った。
その時、慎が「うわっ!何だこれ!」と叫んだ。
俺と淳はその声に驚き、慎の照らす明かりの先に視線をやった。
一本の木に何やらゴミが張り付いている。
よく見ると、無数の菓子袋や空き缶、雑誌が木に釘で打ち付けられていた。
「なんだこれ?!」
慎が明かりを照らしながら近づいていった。
俺と淳も後をついて行った。
「誰かのイタズラ??」
俺はマヂマヂと打ち付けられたゴミを見た。
その時、
「あぁぁぁ・・・これ・・・俺の、ゴミぃ・・・ぁぁぁぁあ・・・」
と、淳が震えた声で言いながら硬直した。
「は?!」
俺と慎は聞き直した。
淳は「あ゛ぁぁぁ・・・俺が、病院で捨てた・・・あぁぁ・・・」と言いながら後ずさりした。
慎が「おい!淳!しっかりしろ!んなわけねーだろ!」と怒鳴りながら、釘で打たれた一枚の菓子袋を引きちぎった。
それを見て淳は「あー、ぁあぁ・・・」と奇妙な声を出し、尻餅を付いた。
その行動に俺と慎は呆気に取られたが、次の瞬間「うわっ!」と慎が手に持っていた袋を投げた。
「え?!」と俺がその袋に目をやると、袋の裏に『淳呪殺』とマジックで書かれていた。
俺はまさか?と思い、木に釘打たれたゴミを片っ端から引き剥がし裏を見た。
『淳呪殺』
『淳呪殺』
『淳呪殺』
淳は口をパクパクさせながら、尻餅を付いた状態で固まっていた。
慎が何気に周囲に落ちていたゴミを拾い、「おい!これ!」と俺に見せてきた。
俺はその時、初めて気付いた。
『中年女』は更正なんてはじめからしていなかったんだ。ずっと俺達を怨んでいたんだ。
病院でゴム手袋をして必死で分別していたのも、淳のゴミだけを分けていたんだ!
俺達に「ごめんね」と言っていたのも全部嘘だったんだ。
俺は急にとてつもなく寒気を感じ、此処にいてはいけない!と本能的に思い、
淳に「おい!しっかりしろ!行くぞ!」と言ったが、
「俺の・・・ゴミ・・・俺のゴミ・・・』と淳は壊れていた。発狂していた。
とりあえず慎と俺で淳を担ぎ、山を降りた。
『中年女』とも会っていない。
まだ俺達を怨んでいるんだろうか?
どこかで見られているんだろうか?
しかし、俺達三人は生きている。
ただ、未だに淳は歩く事が出来ない。